世界的数学者も苦戦する入試…宮本哲也氏

※この記事は、2014年10月22日付「トピックス」から

宮本教室で有名な宮本哲也氏

うちにも先生の問題集があります。

先生の教室はとっても静かなんです。

鉛筆が動く音しかしない。

わたしが子どもにいいなと思ったのはこの宮本先生と

どんぐり倶楽部です。http://reonreon.com/

またそのお話は別の機会にするとして、

子供の教育においてとても大切な視点をわかりやすく説明してくださっているので、

ご紹介します。

算数と数学の違いは何だと思いますか。

 数学の問題には、たいていエレガントな解法というものが用意されています。でも、算数の問題にはエレガントな解法が存在しないことが多い。面倒な作業を積み重ねないと、前に進まない。これを数学的に解こうとすると破綻することが良くあります。

 日本ではじめてフィールズ賞を受賞した小平邦彦氏が、ある年の開成中学の入試問題を解こうとしたところ、試験時間以内に解き終えることができなかったそうです。フィールズ賞受賞ということは、その当時日本で一番数学ができる人ということです。世界でも上位何人かに入るくらい数学ができる。それでも開成中学の入試問題が解けなかった。

 問題がそこまで難しいのかというと、そうではなくて、算数には数学的手法がうまく使えない問題というのが存在するのです。本当に難しい問題をすらすら解く方法というのはありません。このことをよく頭にとどめておいてください。

有名難関校である、開成中学。

当時日本最高の数学者である小平先生が開成中学の入学問題を解こうとしたところ

時間内に解けなかったと。

難しいとかそういう問題ではなくて数学的手法が使えない問題の場合は存在するということ。

難しいから素晴らしいとか、先生がダメだとかそういう問題ではないということをちゃんと理解し、

どんなに数学が優れた人であっても難しい問題をスラスラ解く方法というのはない。

そのことを理解して次へ進みましょう。

 

 歴史的な偉大な発見や発明は、気が遠くなるほど地道な作業の積み重ねで生まれます。

 キュリー夫人はラジウムの抽出で、女性で始めてノーベル賞を受賞しました。結果だけ見るとすごいな、天才だと言いたくなりますが、そのための実践は気が遠くなるほど過酷で重労働でした。鉱山から出る廃棄物を大きな鍋で煮込んで抽出しようとした。最終的には11トンの鉱石くずを煮込んだそうです。その時間40か月。思いつきだけでやれることではありません。

 どうしてそういうことを成し遂げることができたのか。興味があるからです。興味がないことには集中できない。

 発明王エジソンは生涯に5000回の実験を行ったと言われています。エジソンはきっぱりこう言い切ります。

 「私は実験に失敗したことは、ただの一度もない」。実験というものは、ほとんどが失敗に終わります。でもエジソンにとっては、こうすればうまくいかないということが分かったから、実験は失敗ではないのです。

この視点が大事ですね。

こうすればうまくいかないということがわかったのだから、実験は失敗ではない。

これは人生でも言えることですよね。

短期で成果をあげようとする傾向が昨今はありますが、

それはこうなるであろうという成果をある程度想像していて、それを求めて実験を繰り返しているのであって

欲しい結果が出ることが成功である。

その考え方をしてしまうと、

ありきから進めてしまうので、本来の目的を逸失してしまう可能性があります。

とても危険ですね。

算数の問題を延々書き出すことによって解こうとしている子どもは、過去の偉大な科学者や発明家と同じことをしています。だから決して邪魔をしてはいけません。邪魔をする事は、わが子の才能の芽を摘み取ることになります。

今の親にかけているのはこうあって欲しいという形を想像して子供にあてはめて求めるのではなく

子どもが取り組んでいることを静かに見守る力なのかもしれません。